レポート2021.04.17地元愛、家族愛…たくさんの愛に満ち溢れた2つの物語を初お披露目!地域発信型映画『闘牛女子。』『こんな、菊灯りの夜に』舞台挨拶

4月17日(土)、那覇市の桜坂劇場ホールAで地域発信型映画『闘牛女子。』『こんな、菊灯りの夜に』の2作品の上映と舞台挨拶がが行われました。地域発信型映画は「自分たちが住む街の魅力を全国に発信し、地域を活性化させたい」という地元への熱い思いを、映画を通じて実現するプロジェクトです。

『こんな、菊灯りの夜に』からは松田正監督(初恋クロマニヨン)、山城皆人さん、棚原里帆さん、空馬良樹、新垣正弘さんが登壇。本作品は沖縄県読谷村の電照菊畑を舞台に、菊農家の青年と父親、幼馴染の女性との心のつながりを描いたヒューマンコメディです。

挨拶の冒頭で、松田監督は自身も読谷村出身で、実家が菊農家であることを明かし、「大きなスクリーンで観ると電照菊の良さが倍増します。撮影の初めはわからないことがわからない位手探り状態でしたが、周りの方たちのお陰で今日という日を迎えられました」と、初監督作品の完成の喜びを述べました。

主演を務めた山城さんは、「芝居は初挑戦でしたが、先輩などにアドバイスをもらって等身大の自分で演じることができました」と撮影時を振り返り、司会者から「とても自然で初めてとは思えませんでした」と絶賛されると、会場からも拍手が沸き起こります。また、松田監督と山城さんは、雨で撮影が中断することが多い中、出演者やエキストラなどが集まったエンディングの撮影時には、雨があがり空に虹が掛ったエピソードを明かし、「公開まで不安でしたが、今日たくさんの方に観て頂き、温かい拍手をもらって嬉しいです。読谷村の美しい風景が盛り込まれているので、これを機に読谷村の魅力を広めていきたいです」と締めくくりました。

続いて『闘牛女子。』からは真栄平仁監督(ひーぷー)、比嘉あずささん、新垣晋也さん、赤嶺かなえさん、喜瀬剛さん、作品の主題歌「Heart」を書き下ろしたうるま市出身のミュージシャン・新里英之さん(HY)が登壇しました。

『闘牛女子。』は「闘牛の町」として知られる沖縄県うるま市で牛飼いの家に生まれ、幼い頃から闘牛の様子をカメラに収めてきた、闘牛写真家の久高幸枝さんをモデルにした作品です。劇中では、写真を通して闘牛の魅力を発信し続け、2020年5月に持病により逝去した久高さんの晩年の様子が、実話を基に描かれています。

映画監督として今回初めてメガホンを取った真栄平監督は、「たくさんの方に観て頂けて嬉しい」と会場に向けて感謝を伝え、「久高さんの牛への愛情と生き様を、20分という短い時間に収めるのは本当に苦労しました。久高さんにはいつか会いたいと思っていましたが、うるま市の映画を作る話が来てすぐ久高さんが亡くなり、必ず題材にすると決めました」と作品に込めた思いを語りました。

久高さんをモデルにした主人公を演じた比嘉さんは、「周囲が病気に気付かないほど亡くなる直前まで明るく振る舞っていた久高さんの人柄や、闘牛への愛情を受け継ぎたいと想い演じました」と撮影時を振り返ります。また、主題歌を手掛けたHYの新里さんは、「久高さんの牛への愛情はもちろん、家族やうるま市の人たちの支えなど、互いに想い合う姿は、悲しい出来事がありながらも皆さんがキラキラしていました。そんなたくさんの愛によって生まれた曲です」と感慨深げに打ち明けると、会場には涙を拭う人の姿も見られ、久高さんの面影を偲ぶ舞台挨拶となりました。

舞台挨拶終了後には、両監督がインタビューに応じ、舞台挨拶では聞けなかった撮影秘話を明かしてくれました。普段、お笑いトリオ・初恋クロマニヨンとして活躍する松田監督は、『こんな、菊灯りの夜に』が映画初挑戦。「使っている脳は、お笑いの時と同じ感覚。映画監督とは構えずに、普段通りに挑むことが、僕が映画監督をやる意義だと思ったので、お笑いのノウハウを映画に移植するという気持ちで挑みました。僕らしい作品だと思っていただけたらとてもありがた次回作への意欲も満々。

また、実家が菊農家という松田監督は、今回の作品のテーマとなっている電照菊は「幼いころから慣れ親しんだ風景」だそうで、「電照菊の灯りをいかに美しく見せるかにはこだわりました。世の中が大変な時期ですが、この28分の上映時間の間だけでも、大変なことを忘れてくれたら嬉しい」と、これから作品を観る人たちにメッセージを送りました。

そして、普段は劇団の代表を務めるの真栄平監督も、「劇団や舞台とは違って、映画の台本の尺間がわからず、6~7回作り直してやっと20分に納めました」と初めての映画制作の苦労話を明かしましたが、「撮影現場は、今まで経験した現場の中で一番と言っていいくらい楽しかった」と笑顔で撮影時の様子を振り返りました。

『闘牛女子。』はフィクションですが、真栄平監督は「映画の20分間には、人々に愛された久高さんの人柄、闘牛の魅力を発信する情熱など、たくさんのリアルが詰め込まれています」と、主人公のモデルとなった久高さんについて語り、中でも「何より注目してほしいのは牛への愛情の深さ。牛への半端ない愛情を感じてほしい」と見どころをコメント。そして、「短編では入りきらなかった部分が多いので本作品の長編も撮ってみたいし、うるま市を舞台にした違う題材にも挑戦したい」と今後の制作への熱い意欲を話してくれました。

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