レポート2021.04.18劇中のシーンは全て自由演技?喜劇の女王、仲田幸子さんが魅せる笑い、涙、教え、全てが詰まった『なんくるないさぁ劇場版~生きてるかぎり死なないさぁ~』
4月18日(日)、那覇市の桜坂劇場ホールAで、沖縄ヒストリカルムービー「なんくるないさぁ劇場版~生きてるかぎり死なないさぁ~」の特別上映と舞台挨拶が行われました。
15歳で初舞台を踏み、24歳には「劇団でいご座」を旗揚げし、73年の長きにわたり沖縄のお笑いをけん引してきた「喜劇の女王 仲田幸子」さんをモチーフにしたこの作品は、映画の冒頭で幸子さんが亡くなってしまうというショッキングな話から始まり、ドタバタコメディーかと思いきや、恋愛や人情話など、笑いの中にも思わずほろりとしてしまう厚みのある仕上がりで、会場からは笑い声が上がるのはもちろんのこと、胸に来るシーンでは客席がぴんと張り詰めた空気に包まれるほどでした。
上映後に行われた舞台挨拶には野田孝則監督、仲田幸子さん、仲田まさえさん、アイモコ(アイロウ、モコ)さんの5人が登壇しました。演出家の宮本亜門さんから「こんな時代だからこそ、心にしみる笑いが本物の宝物だと教えてくれた映画です」と、作品を絶賛するコメントが司会から寄せられると、満面の笑みを見せていました。
撮影秘話について、棺桶に入るシーンがどうしてもイヤだったから、代わりにデスマスクを取って人形を作ってもらった、告別式のシーンがおきなわワールド(沖縄本島南部にある人気観光地)で行われたことで、観光客が「仲田さん、亡くなったんですか?!」と本当に香典を持ってきてくれたことなど、話題は尽きません。
その中でも秀逸だったのが、「劇中に出てくる幸子さんのセリフはすべて自由演技」ということ。1分半のシーンを撮るのに40分ほど長回ししたことや、幸子さんが次の話に繋がるキーワードを言わないとシーンが進まないため、どうにか次のキーワードを言わせようとモコさんが四苦八苦したことなど、尽きることのない笑いのエピソードに会場からは何度も笑い声が上がりました。
後半には映画のテーマソングがまさえさんにより披露され、「コロナに負けず、これからの沖縄がますます発展していきますように」と、幸子さんの一言で和やかに舞台挨拶は締めくくられました。